研究について
研究成果
船舶排出ガス中のNO2 カラム濃度の見える化
発行年月 | 港湾空港技術研究所 資料 1424 2025年03月 |
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執筆者 | 細川 真也、和泉 隆夫、本間 翔太、大倉 翔太 |
所属 | 海洋環境制御システム研究領域 海洋環境情報研究グループ |
要旨 | 大気汚染物質の排出は, 人の健康の保護を目的として規制されている. 船舶では, 2020 年から硫黄分の燃料油中濃度の規制が強化され, 沿岸域のSO2 濃度の低下が見られるようになってきているが, NOx 排出の規制は2011 年以降に大きな変化はない. しかし, 環境意識の高まりから, 今後, その規制が強化されモニタリングの必要性が高まり, さらに, 可視化技術があれば, 船舶排気中の窒素酸化物濃度の見える化への需要が顕在化する可能性がある. 本研究では, 窒素酸化物の中でも人の呼吸器に悪影響を与える恐れがあるNO2 に着目 し, 光学的手法に基づいた船舶から排出されるガスに含まれるNO2 カラム濃度分布の観測及び見える化を試みた. 本論文では, まず, 光学的アプローチによるNO2 の見える化の課題を整理し, 次に, 室内での検証や屋外での発電機を対象とした検討を行うことで, NO2 の見える化は可能であるが, その精度の確保においては参照光の推定が重要である事を示した. 最後に,東京湾口を航行する大型船舶を対象として,排気ガスのプルーム中のNO2 カラム濃度の分布の見える化を試みた. この結果, NO2 カラム濃度が概ね2×1016 molecule cm−2よりも高い濃度であれば, 見える化は可能である事を示した. しかし, 参照光の推定手法の適用条件の検証や水滴・黒煙等のNO2 以外の光を吸収する物質の影響の分離方法の妥当性の検証の課題を残した. また, 濃度への換算が求められる場合には, プルームの奥行の幅(光路長) と温度の把握も必要となり, 見える化に求められる単位によっては, 技術の確立までにさらに多くの課題を乗り越えなければならない. キーワード: 船舶排気, 窒素酸化物, 見える化, スペクトル強度, 吸収断面積 |
全文 |
TECHNICALNOTE1424(PDF/4,016KB)
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