研究について

研究成果

吸い出しによる空洞・陥没の復旧及び再発防止対策としての フィルター層の有効性と敷設方法

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1418 2024年09月
執筆者 工代 健太、佐々 真志、梁 順普、和田 優希
所属 地盤研究領域 動土質研究グループ
要旨  護岸・岸壁背後の地盤の吸い出し抑止策として,裏込石と裏埋砂の間に,裏込石に対して安定性を保つ比較的大きい粒度の下層フィルターと裏埋砂の吸い出しを抑止する上層フィルターの二層フィルターを設ける手法を構築し,新設の港湾施設において実用化されている.フィルター材は砕石であるため,臨海部で生じる地震・波・流れ等の多様な動的外力下でも変形追随性を発揮し,吸い出しを安定的に抑止し続けることが可能である.したがって,フィルター材は,新設護岸・岸壁背後の吸い出しによる空洞陥没の抑止とともに,既設構造物の陥没被災後の復旧においても有効であると考えられる.  本研究では,二層フィルターを用いた吸い出しによる空洞陥没の復旧手法及び再発防止対策の確立を目的に以下の検討を実施した.吸い出しによる空洞陥没復旧への応用として,吸い出し口が低潮時地下水位より深い場合は,適切な層厚の上層フィルターが下層フィルターを覆う形で二層フィルターを陥没孔に投入する方法を,吸い出し口が浅く低潮時にその近傍の地盤が不飽和地盤となる場合は,その時間帯に陥没孔下側を掘削し,吸い出し口を塞ぐ形で二層フィルターを敷設する方法を考案した.さらに一連の大型吸い出し可視化試験の実施を通じて,双方の手法とも適切な粒度の二層フィルターは強い水理外力下で吸い出しの再発を抑止することを実証し,吸い出しによる空洞陥没復旧における二層フィルターの高い有効性を示した. キーワード:吸い出し,空洞,陥没,二層フィルター,復旧方法
全文 TECHNICALNOTE1418本文-1(PDF/3,761KB)