研究について

研究成果

波による地盤を含む護岸の不安定化に関する遠心模型実験

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 59-2-2 2020年09月
執筆者 高橋 英紀
所属 地盤研究領域 地盤改良研究グループ
要旨

 高波や高潮によって多くの護岸が被災してきた。昨今、台風の頻度や規模が増しており、発生する被害も拡大している。このため、護岸の被災メカニズムを明確にして、耐力が不足する護岸については効果的な対策を施すことが急務となっている。護岸の被災形態としては、上部工や被覆工の被害に留まらず、内部の地盤に被害が生じることも多い。本研究では、後者の地盤の被害を含む護岸の災害に着目した。特に、地盤の飽和化が進み、引き波時に地盤が不安定化する現象について検討した。本研究の特徴は、模型実験を遠心力場で実施したことにある。実物スケールの護岸における地盤内応力や間隙水圧を再現した。初めに、遠心力場における実験相似則についてまとめ、実験によって波の再現性を検証した。次いで、護岸模型に対して実際に波を入射させ、間隙水圧の状態と、地盤の飽和化、海面上昇などが地盤の不安定化に与える影響について調べた。その結果、引き波時に護岸内部の地盤ですべり面が発現して破壊に至ることを確認し、その要因について地盤内部の間隙水圧から考察した。また、地盤内の水位条件によって護岸が破壊に至るまでの時間が異なることも明らかにした。最後に、円弧すべり計算によって護岸の安定性を評価し、円弧すべり計算と遠心模型実験の結果に整合性が取れることを確認した。

キーワード:波、地盤、護岸、遠心模型実験、円弧すべり計算

全文 REPORT59-2-2(PDF/2,414KB)