研究について

研究成果

荷役限界波高に基づく離島港湾における船舶の係留方式の評価

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1372 2020年06月
執筆者 米山 治男
所属 海洋研究領域 海洋研究領域長
要旨

 本研究では、南北大東島の港湾を対象として波浪外力に対する係留船舶の動揺シミュレーションを実施することにより、係留ブイを用いて係留された船舶の荷役限界波高を算定し、その係留方式の効果を評価した。また、荷役効率を向上させることを目的として、係留ブイの代わりに高強度ワイヤによる新たな船舶の係留方式を考案し、船体動揺シミュレーションで得られた荷役限界波高に基づいてその有効性を確認した。本研究の主な結論は、以下の通りである。
 1) 南北大東島において採用されている係留ブイによる船舶の係留方式および移動式クレーンによる荷役方式では、通常の防舷材と係船柱を用いた係留方式および荷役方式よりも係留船舶の荷役限界波高が大きくなる傾向にある。 
 2) 現地での船舶の荷役係留状況を参考にして荷役許容動揺量を設定し、荷役許容動揺量に加えて係留索の張力に対する限界値も考慮する方がより正確に荷役限界波高を算定することができる。
 3) 高強度ワイヤを用いた新たな船舶の係留方式については、船舶と高強度ワイヤとの離隔距離を適切に設定することにより、係留ブイを用いた現状の船舶の係留方式と同等の荷役限界波高を確保することが可能である。

キーワード:離島港湾、係留船舶、係留方式、荷役限界波高、動揺シミュレーション

全文 TECHNICALNOTE1372(PDF/1,334KB)