研究について

研究成果

RTK-GNSSを用いた地震後の係留施設の変位量計測・安定性評価支援システムの開発

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1370 2020年03月
執筆者 伊藤 広高・小濱 英司
所属 地震防災研究領域 耐震構造研究グループ
要旨

 係留施設は地震後に船舶による緊急物資や救援活動のための人員等の輸送に使用するために、係留施設の使用可否判断を迅速に行う必要がある。しかし、地震動によって係留施設がどのように損傷してどの程度性能が低下しているのかを正確に把握することは難しい。このような場合、係留施設の天端の残留水平変位量から判断することが考えられるが、地震時の広域または局所的な地盤移動が生じる状況において残留水平変位量を正確に測定することは容易ではない。また、残留水平変位量だけが確認されたとしても、残留水平変位量と施設の不安定化の関係が不明であれば、使用可否判断をすることは困難である。そこで、本研究では、地震後の係留施設について迅速かつ正確な残留水平変位量の測定手法及び残留水平変位量を用いた使用可否判断のための係留施設の安定性評価手法について検討を行った。
  迅速かつ正確な残留水平変位量の測定手法については、RTK-GNSSの基準点の位置を護岸変形および液状化等による地盤の局所的移動の影響範囲外にすることにより地殻変動分を除いた係留施設の残留水平変位量を測定する手法を検討し、GNSS受信機の操作や残留水平変位量の測定結果の表示が可能なスマートフォン用アプリケーションの開発を行った。係留施設の安定性評価手法については、大小複数の地震動による地震応答解析を行い、残留水平変位量と部材の損傷の関係を部材毎に整理した。また、アプリケーションに変位-部材損傷関係の情報を持たせ、残留水平変位量の計測と同時に安定性評価ができるようにした。開発したアプリケーションによる計測精度や機能の作動確認のため、現場での実証も行った。

キーワード:RTK-GNSS、係留施設、残留水平変位、安定性評価支援、アプリケーション

全文 TECHNICALNOTE1370(PDF/4,093KB)