研究について

研究成果

二軸同軸式アースオーガーで岩に根入れしセメントミルク注入を行った鋼管杭の軸方向抵抗特性

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1363 2019年11月
執筆者 水谷崇亮・兒島正明・村上和之・右田宏文・丸山晴広・橋本洋之・石田毅史
所属 地盤研究領域 基礎工研究グループ
要旨

 支持層の上に中途半端な厚さの軟弱層が存在する条件下で杭基礎を構築する場合、支持層までの深さが十分でないため杭の周面抵抗力が不足し、その結果、杭を支持層に深く根入れする設計となって施工性・経済性に影響する。特に、支持層が軟岩や岩などの強固な地盤である場合、杭を支持層に深く根入れすることは非常に大きな施工上の困難を伴う。このような状況への対応として、掘削力の高い二軸同軸式アースオーガーを用いて鋼管杭を支持層深くまで根入れし、その後にセメントミルク注入を行うことで杭を支持層に定着させて高い周面抵抗力を確保する工法(以下、EAC工法という)が採用される場合がある。本稿では、EAC工法の概要及びEAC工法で施工された杭の載荷試験の結果を紹介する。
 近年、九州地方で実施されたEAC工法により施工した杭の載荷試験では、いずれの試験でも事前の想定以上に大きな軸方向抵抗力が発揮された。載荷試験では極限抵抗を確認する段階まで載荷することはできなかったため、杭の先端抵抗力は他工法の推定式と比較するとやや小さいものとなったが、セメントミルク注入を行った範囲の周面抵抗力度については、他工法で施工した杭の周面抵抗力度の推定式や実測結果よりもやや大きな値を示していることが確認できた。
 今回の試験結果のみではEAC工法で施工した杭の軸方向抵抗力の推定式を作成することは困難であるが、本稿で示した施工法及び載荷試験結果の詳細は、今後同種の杭の施工法を採用する際におおいに参考になるものと考えている。

キーワード:杭、軸方向抵抗力、二軸同軸式アースオーガー、セメントミルク注入、杭の載荷試験

全文 TECHNICALNOTE1363(PDF/1,493KB)