研究について

研究成果

那覇港臨港道路橋における表面被覆材およびエポキシ樹脂塗装鉄筋を用いたコンクリートの長期暴露試験

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1362 2019年11月
執筆者 山路徹・金城信之・富山潤
所属 構造研究領域 材料研究グループ
要旨

 本研究では、厳しい塩害環境下に位置している那覇港の海上大気中に位置する臨港道路橋において、表面被覆材およびエポキシ樹脂鉄筋によるコンクリートの塩害抑制効果について検討するため、1)表面被覆材を適用したコンクリート試験体の長期暴露試験、2)表面被覆材を適用した実PC桁における長期暴露試験、3)エポキシ樹脂塗装鉄筋を埋設したコンクリート試験体による長期暴露試験、の3種類の長期暴露試験を実施した。所定の年数が経過後(1)は30年、2)は26年、3)は25~26年)、各手法の防食効果および耐久性の評価を目的として、各種調査を行った。
  本研究により得られた成果を以下に示す。
(1) 波の上橋桁下でのコンクリート試験体では30年、実PC桁の試験施工部では26年の長期にわたり、各種被覆材は高い遮塩性を保持していた。結果として、表面被覆材はコンクリート中への塩化物イオンの侵入を抑制していた。多量の塩化物イオンが侵入していない段階においてコンクリートに適切な表面被覆を行うことは塩害対策として非常に有効であり、その期待耐用年数(「再塗装が必要となるまでの期間」と定義)は既往の知見(一般的に10~15年とされる)を大きく上回ることが確認された。
(2)なうら橋橋台付近での2種類の試験体による長期暴露試験結果において、25~26年の長期にわたりエポキシ樹脂が高アルカリ環境下で劣化しないことが確認された。なお、今回の鋼材表面には多量の塩分が浸透していなかったため、塩化物イオンに起因する腐食に対する評価はできない状態にある。

キーワード:海洋環境、コンクリート構造物、塩害、表面被覆、エポキシ樹脂塗装鉄筋

全文 TECHNICALNOTE1362(PDF/3,806KB)