研究について

研究成果

ジオグリッドを利用した補強土壁式矢板構造の技術開発

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 57-1-2 2018年03月
執筆者 高橋英紀、森川嘉之、水谷崇亮、池野勝哉、田中智宏、水谷将、三好俊康、林健太郎
所属 地盤研究領域 地盤改良研究グループ
要旨

 近年、大水深岸壁への需要が高まっていることや、岸壁をより経済的に整備することが望まれている。陸上工事では、壁面を形成する平板に補強材を取り付け、補強材を背後地盤内に埋め込む補強土壁工法が多く利用されている。このような背景の下、矢板にジオグリッドなどの補強材を取り付け、海上でも補強土壁式の構造を構築することを発想した。比較的経済的な矢板を用いて大水深岸壁を構築できるだけでなく、中規模程度の矢板岸壁をより経済的に構築できる可能性もある。本研究では、補強土壁式矢板構造の課題を整理し、引抜き試験、大型模型載荷実験、遠心模型実験、有限要素解析を通して、課題の解決を図った。また、実用化を念頭に、設計法を提案し、施工の手順やその課題について検討した。その結果、緩く堆積した石材地盤でもジオグリッドに対して十分なせん断抵抗力を発揮し、ジオグリッドを埋設することで矢板の変位が大幅に低減することが明らかとなった。また、補強土壁式矢板構造の耐震性も高く、ジオグリッドは矢板を引張するだけでなく、主働崩壊の発生も抑制していた。設計の検討では、仮想的な条件下で試設計を行い、提案した設計法の妥当性を示した。

キーワード:補強土壁、ジオグリッド、矢板、大型模型実験、遠心模型実験、有限要素解析

全文 REPORT57-1-2(PDF/9,220KB)