研究について

研究成果

海面処分場における杭基礎の適用性-未処理廃棄物地盤における打設実験と杭周面透水試験-

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1321 2016年06月
執筆者 渡部要一、水谷崇亮、金子崇、増門孝一
所属 地盤研究領域 土質研究チーム
要旨

 海面処分場は、廃棄物を排出する大都市の港湾内に設置されている場合が多く、物流用地、工場用地、レジャー施設用地等として利用価値の高い場所に位置しているにもかかわらず、実際には、土地利用に伴う遮水工への影響が懸念され、土地利用がほとんど行われていない実情がある。本研究では、適切な施工方法と施工管理・品質管理によって、杭周面にける遮水性が保持されることを実証し、海面処分場の土地利用(跡地利用のみならず、供用中の暫定利用を含む)の促進を図るための基本技術を確立することを目的に、実際の処分場において各種工法により杭の打設実験ならびに杭周面の透水試験を行い、処分場における杭基礎の適用性について検討した。対象とした処分場は1970 年代後半から埋立てが開始されており、杭打設実験実施位置周辺には、生ゴミ、プラスチック、ビニール、金属、コンクリートガラなど、焼却処理されていない雑多な種類の廃棄物が混在して埋め立てられていた。一連の実験結果から、以下の知見が得られた。ケーシング併用による二重管方式で打設した鋼管杭と中掘工法で打設した鋼管杭では、杭先に絡まった廃棄物の連れ込みはほとんど見られず、かつ、高い遮水性が得られた。油圧ハンマによる打撃工法で打設した鋼管杭では、漏水があることを示唆する試験結果が得られ、遮水工に関する環境省令を満足しいなくなる可能性が高いと判断された。摩擦低減のための膨張性の塗布剤を使用した鋼管杭では、塗布材を使用しない鋼管杭よりもやや良好な遮水性が得られることが示唆された。肉厚であるが故に内径が小さく、内部をハンマグラブで掘削・除去できないPHC 杭は、打設中に先端が閉塞し、杭の打設を途中で終了せざるを得なかった。

キーワード:海面処分場,杭,粘土層,遮水

全文 TECHNICALNOTE1321(PDF/23,967KB)