研究について

研究成果

海溝型長継続時間地震動に対する砂質地盤上の防波堤沈下挙動に関する模型実験

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1275 2013年09月
執筆者 大矢陽介、小濱英司、野津厚、菅野高弘
所属 地震防災研究領域 耐震構造研究チーム
要旨  防波堤基礎の置換砂層が地震時に液状化すると防波堤は沈下し、後続の津波に対して必要な天端高を確保できない可能性がある。このような沈下被害があった兵庫県南部地震と比較して、近年のシナリオ地震動は継続時間が長く、地震規模の指標に使われるPSI値が大きいものが少なくない。本研究では、長継続時間地震動に対する混成式防波堤の沈下量を予測する目的で、兵庫県南部地震の鉛直アレー記録と南海トラフの地震を想定した地震動の2つの地震動を用いた1g場大型模型振動実験を実施し、沈下挙動について比較した。  模型振動実験の結果、防波堤は置換砂層の過剰間隙水圧上昇とともに沈下し、置換砂層の一部で液状化に至ると沈下速度は加速した。このような沈下が発生する過剰間隙水圧の上昇程度は地震動によらず同じであったが、過剰間隙水圧が上昇する過程や沈下速度は、地震動の波形の特徴が現れた。長継続地震動の場合、過剰間隙水圧は繰返しせん断とともに徐々に上昇し、沈下速度は直下型地震動と比べて遅いが、継続時間が長いため最終沈下量は大きくなった。また、入力地震動のPSI値が大きくなると沈下量は大きくなり、PSI値は加速度よりも沈下量に対する相関が高かった。
全文 /PDF/no1275.pdf