研究について

研究成果

津波越流時における混成堤の被災メカニズムと腹付工の効果

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1269 2013年03月
執筆者 有川太郎、佐藤昌治、下迫健一郎、富田孝史、廉慶善、丹羽竜也
所属 海洋研究領域 上席研究官(耐波設計担当)
要旨  東日本大震災時において、津波により多くの防波堤が倒壊に至った。これらの多くは、津波が越流した時に破壊されたと考えられている。今後も設計を超える津波が来襲する可能性は指摘されている。そのため、設計を超える津波に対しても、防波堤がその防護効果を粘り強く発揮するための構造を開発することが減災につながると考えられる。  そこで、本研究では、まず、水理模型実験において、滑動・支持力破壊・基礎部の洗掘が支配的と考えられる断面を用いて、混成堤の津波越流時に対する破壊メカニズム検討を行い、その後、混成堤における腹付工対策効果について検証した。その結果、以下のことが明らかとなった。 ・基礎部が洗掘された場合においては、洗掘後の断面を用いることで、基礎部の洗掘の有無によらず、滑動・転倒・支持力破壊に対する安全性を用いて、ケーソンの破壊を照査することができる。 ・基礎部が洗掘されると、支持力破壊・転倒の安全率が低下し、ケーソンが倒壊しやすくなる。 ・腹付工を施すことにより耐津波安全性は向上する。また、腹付工に被覆工および洗掘防止工を施すことで、腹付工の洗掘を防止する効果がある。 ・基礎部の洗掘によりケーソンが倒壊する場合、洗掘された穴にケーソンが滑落するため、ケーソンの変形は徐々に進行するようになる。 ・越流時における腹付工を施した混成堤の破壊過程においては、洗掘が開始する津波の高さが重要であり、腹付工を施し洗掘の開始する津波高さを大きくすることが可能となる。そのうえ、ケーソン下部まで洗掘が進行するまで倒壊しないようにすることが可能である場合には、その時間を稼ぐことができ、より粘り強く防護機能を保持することができる。
全文 /PDF/no1269.pdf