研究について

研究成果

平成23年東北地方太平洋沖地震による津波の遡上と地形および底質粒径の変化-波崎海洋研究施設における現地調査-

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1261 2012年12月
執筆者 柳嶋慎一、中村聡志、伴野雅之
所属 沿岸環境研究領域 沿岸土砂管理研究チーム
要旨 2011年3月11日14時46分に発生した平成23年東北地方太平洋沖地震による津波の遡上に関する現地調査を、茨城県の波崎海岸にある波崎海洋研究施設周辺において行い、開放的な砂浜海岸における津波遡上と地形変化および底質粒径変化に注目して、その特性を示した。最大津波遡上高は、D.L.+10.10mに及んだが、津波のエネルギーは、既往最大の侵食が生じた低気圧通過時の波エネルギーより小さかった。津波による地形変化は、既往最大の侵食が生じた時の地形変化の10分の1以下であった。干潮時汀線よりも高い範囲の侵食域と堆積域ともに底質の粒径は細粒化した。地形変化が少なかった第1の理由は、前浜が粗砂で構成されていたため、浸透した海水による地下水位の上昇が少なく、バームの侵食がほとんど生じなかったことである。2番目は、後浜地形変化に影響を及ぼしたのは、遡上した10波の津波の内4波と考えられることである。3番目は、津波遡上高に対して砂丘高が十分にあったため、その頂部を津波が越えて砂丘が大規模に侵食されることがなかったためと考えられる.最後に、津波数値計算および津波の遡上による地形変化予測計算に必要なデータをとりまとめた。
全文 /PDF/no1261.pdf