研究について

研究成果

もたれ式護岸の打継ぎ部における衝撃砕波圧による破壊・変形に関する大規模実験

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1253 2012年06月
執筆者 鷲崎誠、有川太郎
所属 海洋研究領域 耐波研究チーム
要旨 2004年に来襲した台風18号の高波浪により、広島港海岸に整備されているもたれ式護岸の波返し部と本体部の打継ぎ部が破壊した被災が報告されている。被災時は、高波浪の発生に加え、高潮位と重なっていたこともあり、もたれ式護岸には、衝撃砕波圧が発生していた可能性が考えられる。衝撃砕波圧は、作用時間は短いため、部材応力に及ぼす効果が異なることが分かっているが、その衝撃力に対する応答特性は分かっていない。そこで、本研究では、もたれ式護岸の打継ぎ部と衝撃砕波圧の関係性について検討を行うために、大規模な破壊変形実験を行った。はじめに、もたれ式護岸に作用する波圧の測定を行ったところ、衝撃砕波圧の発生が確認された。そして、衝撃砕波圧を含んだ最大波圧から計算した差筋に作用するせん断応力度と引張応力度および差筋の機械的性質を比較し、卓越していた引張応力度を参考にして実験模型を製作した。打継ぎ部には、破壊判定を行うために、実験模型の打継ぎ部表面にひずみゲージを取り付けた。破壊変形実験の結果、衝撃砕波圧は確認され、打継ぎ部にはひび割れが発生した。そして、ひび割れ発生時の最大波圧から計算した差筋に作用する引張応力度は、差筋の引張強さよりも大きくなっていたが、破断していないことが分かった。
全文 /PDF/no1253.pdf