研究について

研究成果

空港用地内における液状化被害予測のための物理探査事例

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1247 2012年03月
執筆者 菅野高弘、中澤博志、小濱英司
所属 特別研究官 特別研究官
要旨 多様な施設が設置されている空港では、地盤が液状化した場合、様々な施設が機能しなくなることが懸念される。特に、地震後において平坦性かつ所定の支持力が要求される滑走路では、液状化による地盤変状に伴う不同沈下等の被害が予測されるが、被害が局所的であっても全面的に供用ができない可能性が高いと考えられる。滑走路における局所的な変状や不同沈下量を予測するためには、事前に地盤の状況を詳細に把握しておく必要があるが、敷地内において平面的に点の調査であるボーリング調査では限界がある。そこで、本報では、滑走路地盤を対象とした既存ボーリング調査結果の補間手法として、幾つかの物理探査を実際の滑走路地盤で実施した。  空港内の滑走路や誘導路上で実施した物理探査手法は、表面波探査、小規模微動アレイ探査および電気探査であり、既存ボーリング調査結果を確認の上、液状化層の連続性と工学的基盤までの地盤モデル作成に向けた層序の概略把握、埋立て時に埋設された既存の構造物の把握、埋立て施工履歴の確認および地盤改良範囲の確認等を主な目的とした。表面波探査結果より、GL-10~15mの範囲において液状化層の連続性を把握するとともに、工学的基盤がそれよりも深い場合、小規模微動アレイ観測結果を併用することで地盤モデル作成が可能なこと、旧海岸線において埋没していた既存構造物の把握が可能なこと、および地盤改良範囲についての概略把握をすることが出来た。また、表面波探査および電気探査結果より、簡易な液状化抵抗評価を実施し、地盤の概況を概ね把握することが出来、滑走路の様な長手の構造物に対し、概略判定が可能であることを示すことが出来た。
全文 /PDF/ff278a6220b450f06ca47e1e1395bb61a8cc6b27.pdf