研究について

研究成果

多チャンネル型表面波探査に基づいた干潟土砂堆積構造の評価-せん断波速度構造の考察と人工干潟安全管理手法の提案-

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 049-03-06 2010年09月
執筆者 渡部要一、佐々真志、桑江朝比呂、梁順普、田中政典
所属 地盤・構造部 土質研究室
要旨 干潟は多種多様な生物を育む重要な沿岸環境要素の一つである。本研究では、多様な土質で構成された各地の干潟において、一般的な土質特性調査に加え、地球物理学的手法の一つである多チャンネル型表面波探査(MASW)の適用を試みた。その結果、地盤の硬軟を表すせん断波速度分布を定量的に把握できる同手法は、干潟地盤の堆積構造を効率的に評価できる有効な手法であることを確認した。得られた硬軟分布や間隙分布として定量化された干潟土砂堆積構造について、その形成要因を考察した結果、土砂が堆積した後、潮汐に伴う地下水位変動に起因したサクション動態に基づく土骨格の繰返し弾塑性圧縮変形の帰結として、土砂の堆積構造を定量的に説明できることを明らかにした。また、干潟土砂堆積構造の岸沖方向に見られる空間的特徴についてスペクトル解析によって評価し、各地の多様な土質からなる干潟土砂堆積構造の卓越波長について、地形データとのリンクの下に評価した。加えて、干潟微地形を効率的に評価するための手法として、小型デジタルカメラを搭載した小型無人飛行機(UAV)の活用が有用であることを示した。MASWの実務における有用な活用法として、浚渫土砂に覆砂を施して造成する典型的な人工干潟において、覆砂厚の均質性や内部土砂の圧密程度を地盤表面から簡便かつ効率的に十分な精度で評価できることを利用した安全管理手法を提案した。
全文 /PDF/vol049-no03-06_compressed.pdf