研究について

研究成果

網チェーン把持装置によるブロック撤去及びその把持モデルの開発

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 049-03-03 2010年09月
執筆者 野口仁志
所属 施工・制御技術部 新技術研究官
要旨  港湾および海岸においては、膨大な数の消波ブロックが据え据え付けられている。これらの消波ブロックは港湾および海岸の整備の進捗等に伴い移設が必要となる場合がある。  消波ブロック撤去工事において、通常は作業員あるいは潜水士が、消波ブロックの隙間にワイヤーロープを通して玉掛けを行い撤去している。しかし、この作業は、足場が不安定で、波や流れの影響を受ける場所での作業であり危険を伴う。  そのため、無人で消波ブロックを回収できる網チェーン式把持装置を開発し、これまで6件の25t以下のブロック撤去工事に活用された。また港湾工事以外の分野においても、水深約200mの海域に沈んだ船舶の水中翼の回収作業に2回活用され回収に成功している。  しかし、25t以上の大重量のブロックに対しては、吊り上げ時のブロックの姿勢、チェーンに作用する張力等、より慎重な事前の技術検討が要請されることもあり、撤去実績はまだ無い。そこで、これらの要請に対応するため、本装置による把持のモデリングに取り組んだ。  本報告は、これまでのブロック撤去工事の実績について述べるとともに、本装置による4脚ブロックの把持状態を、幾何学的および静的な拘束条件式が、同じ数の未知数を用いて1セットの非線形連立方程式で表されることを示した。そしてこれを解くことにより把持状態とチェーンの張力が求められ、ブロック吊り上げの可否の判定が可能となった。
全文 /PDF/vol049-no03-03.pdf