研究について

研究成果

流出油回収装置への蒸気エゼクタの応用

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 048-04-06 2009年12月
執筆者 藤田勇、吉江宗生、竹崎健二
所属 施工・制御技術部 油濁対策研究チーム
要旨 蒸気エゼクタを用いた油回収装置について実験的に検討した。海上に流出した油はW/O型エマルジョンを形成し体積の増加と共に、時として1,000,000mPa.sといった高い粘度を示すようになる。こうしたレオロジー的な変化は現場における油回収を非常に困難なものとしている。蒸気エゼクタはこのような問題に対して、従来広く用いられてきた油回収機には無い有利な点を有している。蒸気の凝縮に伴い発生する熱による急速加熱は高粘度油の吸引管内部の流れを促進する。またエゼクタ内部の超音速流の蒸気流は非常に強い攪拌力を有しており、薬剤を添加した際のエマルジョン分解反応を促進する。本研究ではこのような効果を持つ蒸気エゼクタを油回収に応用することを目的に、蒸気エゼクタによる吸引式油回収機の小型模型を製作し、実験により油回収能力を検証した。試験ではエゼクタの吸引特性の把握に始まり、小型模型における油回収率、油水比、蒸気消費率などを測定するとともに、波浪などの影響を検証した。合わせて蒸気エゼクタ吸引におけるエマルジョンブレークの効果等を検証した。蒸気エゼクタが油回収あるいは対応において優れた性能を示すことが明らかとなった。
全文 /PDF/vol048-no04-06.pdf