研究について

研究成果

断面修復を施したコンクリート床版の鉄筋腐食性状に関する検討

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 048-04-02 2009年12月
執筆者 加藤絵万、審良善和、岩波光保、横田弘
所属 地盤・構造部 構造研究チーム
要旨 塩害により劣化した鉄筋コンクリート(RC)部材の一般的な補修工法のひとつである断面修復工法では、断面修復材内部の鉄筋の腐食は抑制されるが、断面修復材とコンクリートの界面近傍において鉄筋のマクロセル腐食が進行することがある。本研究では、塩化物イオン含有コンクリートで作製した試験体の1/4および1/2に部分断面修復を施したRC床版におけるマクロセルの形成メカニズムついて実験的に検討を行った。約2年にわたって床版試験体中に埋設した分割鉄筋間の腐食電流を測定し、コンクリート-断面修復材間におけるマクロセル腐食電池の形成、鉄筋の交差部がマクロセル形成に与える影響、また、断面修復材中の鉄筋の腐食進行の可能性について考察した。その結果、主として、コンクリート-断面修復材境界部の鉄筋は、初期はカソードとして挙動するが、部材中の電気化学的バランスの変化により、境界部のコンクリート中の鉄筋がアノード化すること、コンクリート中の鉄筋交差部は二次元的な腐食電流の流出入により、初期に著しく腐食が進行すること、また、断面修復材中の鉄筋間に腐食電池が形成される可能性があることなどが分かった。
全文 /PDF/vol048-no04-02.pdf