研究について

研究成果

分割型圧密試験によって評価した関西国際空港海底粘土の圧密挙動に見られる層厚の影響

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 048-02-04 2009年06月
執筆者 渡部要一、田中政典、佐々真志、江村剛
所属 地盤・構造部 土質研究室
要旨 本研究の目的は、長期圧密挙動に見られる層厚の影響を実験的に明らかにすることである。層厚が増せば、供試体と圧密リングとの間に発生する摩擦による圧密圧力損失を考慮しなければならなくなる。層厚20mmの供試体を用いた圧密試験における摩擦損失を評価するために、摩擦による圧力損失を評価できる特殊な圧密容器を使用した段階載荷圧密試験を実施した。摩擦による圧力損失比(載荷圧力に対する損失圧力の比)が0.2を超す大きな値になるのは、過圧密領域にある場合と言うよりもむしろ圧密圧力がおよそ300kPa以下の場合と言った方が適切であった。次に、供試体となる個々の要素の層厚を薄く制限して摩擦の影響を最小限にとどめた分割型圧密を種々の条件の下で実施することによって、供試体全体の層厚が20mmから200mmの範囲で変化したときに、層厚の影響が長期圧密挙動にどのように現れるかを実験的に調べた。過剰間隙水圧の消散過程については、一次圧密終了(EOP)を明瞭に決定できた。また、H2則は、過剰間隙水圧の消散に対しては十分に有効であることがわかった。しかしながら、供試体全体の層厚が薄くなると、ひずみに関して得られるEOPが次第に不明瞭になった。EOPのときの圧縮ひずみは、供試体全体の層厚が増加した場合に、一定値を示す、あるいは、やや増加する傾向が認められた。
全文 /PDF/vol048-no02-04.pdf