研究について

研究成果

浅層を安定処理した岸壁背後地盤の主働破壊特性に関する研究

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 047-04 2008年12月
執筆者 高橋英紀、北詰昌樹、市川栄徳
所属 地盤・構造部 地盤改良研究チーム
要旨 近年、岸壁構造物に作用する背後地盤の土圧を低減することを目的として、裏埋材(埋立材)の浅層をセメント安定処理する事例が増えている。安定処理土は大きなせん断強度を有しているため、常時および地震時において岸壁構造物に作用する土圧を大幅に軽減できると考えられている。一方で、脆性な材料である安定処理土を裏埋材(埋立材)として用いた場合、安定処理土の下部や周辺地盤の変形に追随できずに安定処理土に脆性破壊が生じることが懸念されている。安定処理土が破壊するメカニズムや、その破壊が土圧低減効果に与える影響を調べた研究は少ない。そこで本研究では、準静的な水平地震力が作用する場合の安定処理土を含む地盤の主働破壊特性について、脆性破壊の発生過程とその影響を検討した。研究手法として、遠心模型実験および実験結果を反映した分割法による数値計算を採用している。実験の結果、背後地盤を支えている擁壁(岸壁構造物)の微小な主働側への変位によって、幅広く打設された安定処理土には引張クラックが安定処理土を鉛直に貫通するように発生した。このクラックは主働土圧を増大させる。また、クラックを防止することによって、無改良地盤に比べて主働土圧を大幅に低減できること等が分かった。さらに、実験で得られた主働破壊モードを考慮した分割法による土圧算定では、主働土圧分布の再現性にはいくらかの課題を残したが、土圧合力の計算精度は高いことが分かった。
全文 /PDF/vol047-no04.pdf