研究について

研究成果

T型あるいは浮き型SCP工法によって改良された粘性土地盤の支持力特性

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 047-02-02 2008年06月
執筆者 高橋英紀、市川栄徳、北詰昌樹
所属 地盤・構造部 地盤改良研究チーム
要旨  サンドコンパクションパイル工法(以下、SCP工法)は比較的安価な費用で大きな地盤改良効果が得られる工法として、多くの地盤改良工事に用いられている。一方、経済性の追求や施工上の問題から、SCP工法に関しても改良率の低減や改良断面の縮小が求められている。例えば、軟弱粘土層下部の支持層まで砂杭を着底させない浮き型改良地盤や、改良断面裾下部を浮き型にしたT型改良地盤などが検討されている。このような改良断面縮小型の地盤改良 工を適用した場合、着底型改良地盤に比べて地盤の安定性が低下したり変形量が増大したりすることが危惧されている。しかしながら、このような改良地盤の破壊挙動に関してはほとんど研究が進んでいないのが現状である。そこで本研究では、模型実験および数値解析手法を用いて、T型あるいは浮き型SCP工法によって改良された粘性土地盤の破壊メカニズムおよび支持力特性を防波堤構造物を対象に調べた。  研究の結果、鉛直載荷時にフーチング直下の改良域に剛性くさびが形成され、これをくさび下部および側方部の地盤が支持する機構が観察された。また、剛性くさび下部および側方部の地盤からの鉛直および受働抵抗力が期待できる範囲内では、改良域を縮小しても支持力がそれほど低下しないことが分かった。円弧滑り計算では、模型実験での地盤強度を忠実に再現すると支持力を過大評価する傾向があったが、現行設計法で規定する強度を用いれば精度よく支持力を再現することができた。さらに、FEM解析は模型実験の支持力特性を精度よく再現できた。受働部においては、砂杭が屈曲するとともに杭間粘土層が単純せん断破壊することが解析的に検証された。この破壊メカニズムと地盤の支持力を関連付け、T型あるいは浮き型SCP改良地盤の支持力の考え方を示した。
全文 /PDF/vol047-no02-02_compressed.pdf