研究について

研究成果

海上空港FRPフェンスの破壊試験

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1154 2007年06月
執筆者 春尾和人、平石哲也、田中克己、大波多昌志
所属 海洋・水工部 波浪研究室
要旨 海上空港では、海上からの侵入防止のため、フェンスの設置が義務づけられている。近年、地球温暖化による台風の大型化や高潮により、高波浪を受ける海上空港では、このフェンスがなぎ倒され、散乱する被害が頻繁に発生している。災害復旧の基本方針は原型復旧であり、従来のフェンスは、風荷重は考慮されているが、波力を考慮していないため、同様の台風が発生すると再び被災が起こっている。また、フェンスは、空港の大部分で鋼製フェンスを使用するが、一部、航空機離発着時の電波障害の影響でFRPフェンスを使用している。FRP(Fiber Reinforced Plastic)フェンスは鋼製フェンスに比べコストが高く、成型型枠以外の形に加工することも難しい。そこで、波力を考慮した改良フェンスについて検討することとした。波力は越流水深h=1m、越流係数C’=2.5、安全率Sf=3と条件を設定し推定した。なお、波力の設定はこれ以上の波力が発生した場合、冠水による滑走路の閉鎖や場周道路陥落を引き起こす可能性があるため、フェンス改良以前に抜本的な越波対策が必要になることや、FRPの強度増加が困難となり、高コストになることを踏まえて、FRPフェンスを設計する上での目標強度として設定した。この設定した波力に対し、FRPの改良案を提案し、性能試験を行った結果、支柱を生成する樹脂をUP(不飽和ポリエステル)から、VE(ビニルエステル)にし、FW(フィラメントワインディング)、クロス巻き補強をすると効果的であることが確認できた。
全文 /PDF/no1154.pdf