研究について

研究成果

管中混合固化処理地盤の強度変動と要因分析

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 044-02-04 2005年06月
執筆者 北誥昌樹、早野公敏
所属 地盤・構造部 地盤改良研究室
要旨  管中混合固化処理工法は、浚渫土などを含む軟弱土のリサイクルが可能な固化処理工法の一種で、その原理は空気圧送中の軟弱土に固化材を添加し、空気圧送管内で発生するプラグ流による乱流効果を利用して軟弱土と固化材を混練するものである。本工法では、圧送中に固化処理土の混練も行うために固化処理設備が非常に簡略化でき、既存の空気圧送設備に固化材の添加装置を追加することでシステムを構築することができる。  一方、管中混合固化処理工法は機械的な攪拌を行わないために、処理土の強度のばらつきに対する危惧が大きい。そのため試験施工を含むこれまでの実績に基づいて、処理土にある程度の不均質性を許容した設計・施工が行われることが一般的である。しかし、より経済的・合理的に管中混合固化処理地盤の設計・施工を行うためには、処理地盤特性のばらつきとその要因を十分に把握し、地盤の強度・変形特性や耐久性を精度良く予測することが重要である。  そこで本研究では、中部国際空港の空港用地造成工事を対象に管中混合固化処理工法により大規模急速施工で造成された処理地盤に対して、施工時及び施工後に原位置調査・試験および室内試験を実施し、改良地盤の強度のばらつきとその要因について検討を行った。  その結果、土運船1隻の土量(約2,000~3,000 m3)に対して、含水比や水セメント比の変動係数が数%程度の配合管理を実施すると、本施工条件では少なくとも600 m 程度の圧送距離が得られれば、処理土の強度の変動係数は十数%程度であった。しかし、複数の土運船が供給する同じ浚渫場所の浚渫土から得られる処理土の強度の変動係数は30%前後のばらつきが生じた。これは同じ浚渫場所でも浚渫深度の違いなどにより原地盤の特性が変化し、各土運船の浚渫土とセメントの固化反応に違いが生じたためと考えられる。
全文 /PDF/vol044-no02-04.pdf