研究について

研究成果

繰返し荷重を受けるRCはりの構造性能に及ぼす鉄筋腐食の影響

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 1079 2004年03月
執筆者 加藤絵万、岩波光保、横田弘、中村晃史、伊藤始
所属 地盤・構造部 構造強度研究室
要旨  海洋環境下に構築される鉄筋コンクリート(RC)構造物において最も重大かつ重要な劣化原因は、コンクリート中の鉄筋腐食である。コンクリート中の鉄筋において腐食が開始すると、腐食生成物の膨張によりコンクリートにひび割れが生じ、やがてかぶりコンクリートの剥落や鉄筋の破断にまで至る。このような材料劣化の進行に応じて、構造物の耐荷性、変形性といった構造性能は低下する。しかし、鉄筋腐食程度と構造性能の低下の関係については未だ定量的な評価はなされておらず、目視観察結果に基づいた定性的なかつ主観的な情報により、構造性能が間接的な判断されているのが現状である。  本研究では、構造性能の低下をより精緻に評価する手法を確立するための研究の一環として、鉄筋が腐食した鉄筋コンクリート部材の力学性能に関する基礎的知見を得るため、電食により腐食程度を変化させたRCはりの正負交番載荷試験を行った。その結果、鉄筋腐食によるはりの耐荷性の低下は、主筋の腐食による断面減少、および腐食に起因する鉄筋とコンクリート間の付着性能の低下が影響することが分かった。また、鉄筋腐食による変形性の低下は、特に、せん断補強筋の腐食による断面減少が影響することが分かった。さらに、既往のじん性率評価式の鉄筋腐食が生じたRCはりへの適用性について考察を加えた。
全文 /PDF/f175f8a8582a3f76de48e60619020b5ea92add62.pdf