研究について

研究成果

沿岸域の廃棄物埋立地における地盤環境の評価と改善に関する研究

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1025 2002年06月
執筆者 土田孝、渡部要一、織田幸伸、今村聡、根岸昌範
所属 地盤・構造部 土質研究室
要旨 港湾の重要な機能のひとつに廃棄物埋立護岸による各種廃棄物の受け入れがある。本論文は港湾の管理型廃棄物護岸における高規格止水構造および廃棄物処分場の環境情報の取得と環境リスクの評価手法についての一連の研究をまとめたものである。主要な結論は以下のようになる。 1)広域の地盤環境情報を効率よく取得する装置として、地盤環境モニタリングコーンを開発した。本装置は、港湾の廃棄物処分場のように土層構成が非常に複雑な地盤において、地盤の三次元的な土層構成を把握しながら土中水の採水を効率よく行うことができる。 2)遮水シートが損傷した場合、損傷を考慮した換算透水係数を設定できる。これにより、シートを二重にすることにより遮水性能が大きく向上することを解析的に示すことが可能である。また、継手部で少量の漏水がある止水鋼矢板についても同様の解析方法が適用できる。 3)浚渫土を活用した貧配合セメント処理土の止水性地盤材料としての力学特性を明らかにした。 4)施工が正確に行われれば、サンドコンパクションの打設による複合地盤の透水性の上昇は、置換率70%の場合でも水平方向の透水係数の増大が10倍程度にとどまる。実用上、置換率が50%以下であれば、サンドコンパクションパイルを廃棄物護岸の基礎地盤の改良に用いてもよいと考えられる。 5)二重のPVCシートと中間保護土(貧配合でセメント処理した浚渫土)による遮水工を採用した初めての管理型廃棄物護岸が徳島県橘湾に建設された。本事例は 6)廃棄物処分場における汚染メカニズムのモデル化について検討を行い、汚染のメカニズムを解析する手法を示した。 7)港湾内の管理型廃棄物処分場を対象とした環境リスクの算定方法を示した。この方法は簡略化したモデルではあるが、今後このようなリスク評価は廃棄物処分場の建設と管理において重要な役割を果たすと考えられる。 8)既設護岸に鉄粉を用いた反応性浄化壁を適用する方法について検討した。屋内試験では良好な結果となっているが、実際の護岸では地下水の流れ等を考慮した検討が必要である。
全文 /PDF/no1025.pdf