研究について

研究成果

台風9918号による虹ヶ浜海岸の高潮災害

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0974 2000年12月
執筆者 柳嶋慎一、加藤一正、岩渕哲治、猿田光隆、平戸誠一郎、堀謙吾
所属 海洋環境部 漂砂研究室
要旨  高潮時の海浜地形変化の実態を把握することの重要性は認識されていたものの、今までこのような調査は行われていない。それは、高潮の発生を予測できないため、高潮来襲直前の地形データを取得できないことに起因している。瀬戸内海に面する山口県光市虹ヶ浜海岸では、1999年9月24日台風9918号によって海岸浸食、浸水被害が発生した。虹ケ浜海岸では、1995年から砂浜の地形、地下水位等の調査が継続的に行われており、台風9,918号来襲2週間前の地形データが得られていた。  そこで、高潮災害直後に海浜の変形の観点で現地踏査を行い、その結果をもとに高潮時の地形変化の実態を明らかにした。  得られた主要な結論は以下のとおりである。 (1)波の遡上高は原地盤高を僅かに越えており後浜の天端高不足であった。 (2)満潮時付近の3時間内に台風が通過したため、H.W.L.以上の前浜および後浜が侵食し、その砂の一部は背後の松林に堆積した。 (3)後浜天端に繁茂する植物は、後浜の侵食を防ぐことができる。一方、植物が少なかった後浜は侵食され天端高が0.4m低下した。
全文 /PDF/no0974.pdf