研究について
研究成果
植栽コンクリートの海洋環境下への適用性の検討
発行年月 | 港湾空港技術研究所 資料 0953 2000年03月 |
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執筆者 | 山路徹、福手勤、田中順、錦織和紀郎、森伊佐男 |
所属 | 構造部 材料研究室 |
要旨 | コンクリート中に空隙を有し、透水性のあるポーラスコンクリートは、現在透水性コンクリート舗装などに広く用いられてきている。またポーラスコンクリートに植栽を施した「植栽コンクリート」も河川護岸などにおいて実用化されつつある。一方、わが国の港湾整備において、構造物としての力学性能を満足しつつ、かつ景観を考慮したものが必要とされるケースがある。この際、構造物を自然と調和させるために、コンクリート構造物に対して「緑化」の要請がされる場合がある。 このような背景から、本稿では、海洋環境下で植物がコンクリート中に根を張り、生長することが可能となる植栽コンクリートを開発することを目的としている。 筆者らは、まず所要の性能を有するポーラスコンクリートの配合選定実験を行った。次に、実際にポーラスコンクリートを基盤として草本類および木本類を植栽し、植物の成長状況に及ぼすポーラスコンクリート中の空隙における充填材の影響および植栽コンクリートの海洋環境下への適用性を検討した。 一連の実験の結果、以下のような結論を得た。 (1)混和材として高炉スラグ微粉末を用いることで、25%の空隙率で圧縮強度の目標値19.6N/mm2のポーラスコンクリートを得ることができた。 (2)アルカリ溶出用に関し、混和材を混合したもの、特に高炉スラグ微粉末を添加した場合、相対的にpHが低下していた。 (3)植栽を目的としたポーラスコンクリートにおいては、その空隙を埋める充填材に対して保水性・ひび割れ抵抗性などが必要とされる。今回の検討において、粒状材料である珪砂、保水能力に優れる木節粘土および黒土の3種類を適切な配合で混ぜ合わせたものが最適であることがわかった。 (4)上記の充填材を使用することにより、海洋環境下においてポーラスコンクリートを植物(木本類および草本類)の植生基盤として活用できることが示された。 |
全文 |
/PDF/no0953.pdf
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