研究成果
耐震強化岸壁の耐震性能に関する有効応力解析
発行年月 | 港湾空港技術研究所 報告 037-04-03 1998年12月 |
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執筆者 | 一井康二、井合進、森田年一 |
所属 | 構造部 地盤震動研究室 |
要旨 | 兵庫県南部地震以後、震災時に備える防災拠点の中核的施設として耐震強化岸壁が日本各地に建設されている。こういった耐震性強化岸壁の有効性については兵庫県南部地震時に摩耶埠頭の耐震強化岸壁が無被災であった事例が知られているが、その無被災メカニズムについては明らかにされていない。したがって、今後想定される地震に対しての耐震強化岸壁の耐震性能がどの程度のレベルにあるかも検討されていない。そこで、一般の耐震強化岸壁の耐震性能を検証することを目的として有効応力解析を行った。今回の研究では、神戸港のケーソン式岸壁や防波堤などの解析により適用性の確認された解析手法を用いて解析を実施した。 本研究で用いている有効応力モデルは、多重せん断機構に基づくものであり、阪神大震災における種々の構造物の被災の解析を通じてその適用性が確認されている。本研究では兵庫県南部地震時に無被災であった摩耶埠頭耐震強化岸壁の無被災のメカニズムを解明した後、他の一般的な耐震強化岸壁の耐震性能について検討した。 有効応力解析の結果、摩耶埠頭岸壁の変位量は岸壁法線の方向性・ケーソン背後に埋め殺しされたセルの存在により小さく抑えられていたことがわかった。生じた変位量は主として置換砂部及び後背部の液状化によるものであり、液状化対策が施されていれば変形は全く生じなかったと思われる。一般の耐震強化岸壁についての検討を行い、液状化対策が施されていれば兵庫県南部地震における最もシビアな地震荷重条件の下でも変位量は1m以下に抑制できるとの見通しが得られた。 |
全文 |
/PDF/vol037-no04-03.pdf
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