研究について

研究成果

大阪湾洪積粘土の三軸せん断特性と大型護岸構造物の安定性

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 037-02-03 1998年06月
執筆者 渡部要一、土田孝、足立格一郎
所属 土質部 土性研究室
要旨

 洪積粘土のように堆積年代が古い粘土は、二次圧密やセメンテーションなどの年代効果を受け、正規圧密粘土に比べせん断特性が変化している。本研究では、大阪湾洪積粘土のせん断強度および変形特性を調べるために、K0圧密試験、求められたK0値を用いた異方圧密非排水三軸圧縮・伸張試験を行い、不攪乱洪積粘土試料のせん断特性を調べた。また、実務においてより簡便で合理的に地盤の強度を求める方法として、土田ら(1989)が提案している簡易CU試験の洪積粘土への適用性について検討した。加えて、三軸試験の結果から求められた地盤の強度を用いて大規模護岸構造物の安定性を検討した。

1) 大深度の大阪湾洪積粘土は、弾性的な変形から急激に破壊へ移行する脆性的な粘土である。

2) 非排水せん断強度は、伸張強度の定義、試験方法により変化する。

3)最小安全率を与えるすべり円弧が、強度の定義の仕方によっては深度50mの洪積粘土層に達する場合がある。この場合の安全率は1.2から1.3の範囲にあって十分な余裕がないので、実際の設計においては洪積層を通過するすべりについても十分検討する必要がある。

全文 /PDF/vol037-no02-03.pdf