研究について

研究成果

波浪監視計の開発

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0860 1997年03月
執筆者 菅原一晃、永井紀彦、橋本典明、鈴木高二朗、清水康男、浪間雅晶
所属 海洋環境部 主任研究官
要旨  浅水深における波浪諸元を簡易かつ安価に観測することができ、なおかつリアルタイムでモニターできる波浪監視計を開発した。  本資料は、波浪監視計の設計思想、すなわち機能と構成を示すとともに、当所アシカ島観測施設における現地実証実験結果を紹介するものである。  波浪監視計は、海底面に設置される水圧センサー、簡易無線装置を搭載した小型ブイ、陸上データ受信装置と表示・記録装置から構成されるものである。水圧変動記録の表面波形への高精度換算システムを組み込み、特定小電力無線によるリアルタイム波浪監視ができる波浪監視計は、従来の波高計に比べて、非常に簡易かつ安価なものであるが、現地実証実験の結果、以下の成果を得ることができた。 (1)有義波高が4m近い時化にあたっても、システムは正常に機能し、その安定性と、信頼性が確認されたこと。 (2)波浪監視計に内蔵した水圧変動記録から高精度に表面波形を推定する数値フィルターは、その最大補正倍率を30程度とすることによって、その観測精度と信頼性が十分に満たされること。 (3)波浪監視計では、データの速報性を高めるため、各観測におけるデータのサンプリング時間は、従来の波高計の半分の10分間に設定しているが、最高波諸元算出には若干のばらつきは見られるものの、有義波諸元に関しては、演算結果の安定性が確認されたこと。  波浪監視計は、海水浴場等における安全監視に応用できる。このため、従来から当所が研究を進めている人の安全と気象・海象との関係に関する知見を反映させて、音声等による危険表示機能の付加が今後の課題となっている。
全文 /PDF/no0860.pdf