研究について

研究成果

汚染海域における港湾鋼構造物の電気防食法に関する現地試験

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0852 1996年12月
執筆者 阿部正美、福手勤、玉利昭一、戸村寿一
所属 構造部 材料研究室
要旨  港湾鋼構造物の海水中、海泥中環境の防食には現在電気防食法が適用されている。しかしながら、生物付着下の防食効果、汚染海域や海泥中環境の適切な防食電流密度等については十分に検討がなされていない。そのため、これらの事項を明らかにする目的のために実構造物を使用して汚染海域において現地試験を実施した。  試験結果から以下に示す事項が明らかとなった。 (1)海洋生物が付着した鋼材表面の孔食は、無防食期間に発生する。 (2)電気防食は無防食時に発生した腐食の進行を防止できることが確認された。 (3)鋼材表面への海洋生物の付着は電気防食の防食効果に悪影響を及ぼさないことが明らかとなった。 (4)汚染海域における海水中の防食電流密度は上層部で大きい傾向を示した。その値は清浄海域の1.5~2倍程度であった。 (5)本海域における海泥中の防食電流密度は海底面から10m程度までは30mA/m2程度必要であった。しかし、それよりも深い部分では10mA/m2程度で十分防食出来ることが明らかとなった。 (6)陽極の発生電流は中、下層部に比べて上層部(-2m)で大きい傾向を示した。その結果、上層部の陽極は他の深度よりも早い時期に消耗することが考えられるために、その対策が必要である。 (7)汚染指標値に準拠した清浄海域と汚染海域に対する防食電流密度の取り方について提案した。
全文 /PDF/no0852.pdf