研究について

研究成果

盤洲干潟(小櫃川河口付近)におけるアサリによる濾水能力分布調査

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0844 1996年09月
執筆者 細川恭史、木部英治、三好英一、桑江比呂、古川恵太
所属 海洋環境部 海水浄化研究室
要旨  干潟には多くの生物が生息しているとともに浄化機能があるといわれている。干潟に生息する生物の現存量を調査し、浄化機能を定量的に評価する必要がある。干潟の生息生物の中でも生息密度が高く、四季を通じて生息するアサリを取り上げた。アサリは呼吸運動により海水中の浮遊懸濁物をえらで濾過する作用がある。濾過により、エラに集められた粒子は、体液によって固められ沈積させる。懸濁物除去は重要な浄化作用である。そこで、アサリによる浄化能力を濾水量で比較検討することとした。まず、(1)盤洲干潟のアサリの生息分布を調査した。次いで、(2)アサリの濾水量あお間接法、直接法で算出し、両方の結果を比較した。さらに、(3)アサリの固体の濾水量と固体密度分布から、盤洲干潟におけるアサリによる濾水能力の分布を試算した。  上記の調査結果、(1)岸側の高潮帯では春から夏季に小型の固体が高密に見られるが、大型の固体は沖で多い傾向があった。アサリの大きさによって生息場所が異なるとともに季節的変化があると判断された。(2)アサリの濾水量実験から水温別・アサリのサイズ別の濾水量を得た。(3)盤洲干潟では中低潮帯でのアサリの濾水量が大きく、夏季から秋季には1日に干潟面1m2あたり海水を2~3m3濾過すると推定された。
全文 /PDF/no0844.pdf