研究について

研究成果

海洋波の方向スペクトルの推定法に関する研究

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 0722 1992年03月
執筆者 橋本典明
所属 海洋水理部 海象調査研究室
要旨  海の波の基本的性質を表示する方法として、波のエネルギーが周波数および方向角に対して分布している状態を示す方向スペクトルがある。方向スペクトルの測定法や推定法はこれまでにも多く提案されている。しかしながら、実際の不規則な波浪特性を精度良く推定し得る方向スペクトルの推定法はいまだ確立されていない。波浪の発生、発達、減衰の各段階を支配するメカニズムの解明のみならず、波浪災害の原因究明や港湾構造物の設計などの問題に対しても、方向スペクトルに関する知識が不可欠であり、より高精度かつ信頼性の高い方向スペクトルの推定法を開発する必要がある。  本論文は、海洋波の方向スペクトル推定法を既往の推定法とは異なる視点から考察し、極めて推定制度の良い方向スペクトル推定法を提案したものである。必要最少の情報から方向スペクトルを推定するために最大エントロピー原理を利用する方法と、より多い情報から方向スペクトルを推定する場合に、情報相互間の誤差の影響を考慮することのできるベイズ統計学に基づく方法との、それぞれ新しい2つの方向スペクトル推定法を提案している。さらに後者の理論を修正あるいは拡張し、護岸や岸壁前面の入・反射波共存場で、方向スペクトルのみならず反射率も同時に推定し得る方法を提案している。
全文 /PDF/no0722.pdf