研究について

研究成果

長期間海水作用を受けたコンクリートはりのひびわれと内部鉄筋の腐食について

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 012-03-05 1973年09月
執筆者 関博、丸山浩
所属 構造部 主任研究官
要旨

 鉄筋コンクリートはり(断面15×30cm、長さ1.8m)を海水循環水槽に浸漬して、あらかじめ供試ばりに発生させたひびわれと内部鉄筋の腐食傾向を検討した。供試体は水槽中の感潮部および水中部に装置して、5年、7年および9年の時点において試験に供した。
 試験結果によると、9年経過後においてもpH10~12以下の領域はコンクリート表層2~6mm程度であって、鉄筋の腐食はひびわれ箇所から発生すると考えられる。鉄筋にサビが認められる状態であっても、ひびわれ幅が0.2mm以下では、鉄筋の強度特性の低下に与える影響は小さく、材令9年においても0。05~0.1mmの腐食量にとどまり、引張強度の減少も軽微である。鉄筋の強度特性からは、鉄筋の腐食発生率50%を基準とするとひびわれ幅の限界は、感潮部において0.15mm程度、海水中において0.2mm程度と考えられる。鉄筋軸方向の腐食が部材耐力に及ぼす影響については今後さらに検討する必要がある。

全文 /PDF/vol012-no03-05.pdf