研究について 波浪による地盤の液状化に関する公開実験の実施

重複波浪場での緩く堆積した地盤の液状化とその高密度化

海洋・水工部 耐波研究室では、12月16日に大規模波動地盤総合水路を用いて、波浪による地盤の液状化に関する公開実験を行いました。

実験では、水路に入れてある砂の下に事前に空気を入れ、砂が液状化状態を起こしやすい環境を作り出した上で、波高1.5メートルの波を周期5秒で起こし、波浪が海底地盤にどのような影響を与えるかを観察しました。

波を起こした初期の段階では、海底地盤は波の動きに引きずられるように大きくうねりましたが、時間の経過とともに動きが少なくなり、砂が次第に締め固まり、やがて海底地盤はほとんど動かなくなる現象が確認されました。

当初は波高1.5メートルから始めましたが、海底地盤の砂が締め固まってくるにつれて波高は高くなりました。

実際の海底地盤において波浪による液状化現象が起こっているのではないかという見方がされたこともありましたが、現実的には波浪は常時繰り返されることで海底地盤は締まっており、液状化は通常起こらないことが立証され、さらには、海底砂が波とともに動く時は波高を吸収する作用が働くが、砂が固まってくると波に与える影響が強まることなどが立証されました。

また、この実験により人工干潟や浅場造成など、新しい砂を入れたばかりの海岸では波浪による締め固まりが充分でないことで、液状化が起こる可能性も予測され、その上に構造物を構築する場合は何らかの対応が必要であることも確認できました。

(公開実験参加者・大学、民間研究機関の研究者等 約20名)

※「大規模波動地盤総合水路」は、長さ184メートル、幅3.5メートル、深さ12メートルであり、長さ67メートル、深さ4メートルの砂地盤層を持っています。ピストン型の造波機により最大波高3.5メートルの波を人工的に作り出すことができます。

実験の様子(動画)