研究について
研究成果
桟橋の骨組解析における新たな杭-地盤系のモデル化手法の提案
発行年月 | 港湾空港技術研究所 資料 1425 2025年03月 |
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執筆者 | 嘉數 浩靖、松村 聡、水谷 崇亮 |
所属 | 地盤研究領域 基礎工研究グループ |
要旨 | 桟橋の変動状態の計算は,上部工及び鋼管杭を梁要素として骨組解析により行われることが一般的である. 表層には基礎捨石が設置されることが多く,地表面は斜面となる. 斜面に設置された杭の挙動の推定においては,鈴木ら(1966)によって提案されている地表面の傾斜角に応じて横抵抗係数を補正する方法(鈴木らの方法)を適用することが望ましい. 一方で現在の技術基準では,実斜面と設計水深の中間の標高を仮想地表面とし,仮想地 表面以深に地盤ばねをモデル化する方法で計算を行う方法(現行法)を採用している. 現行法は,鈴木らの方法よりも安全側の設計となることが確認されているが,桟橋幅20m 以下の桟橋に対する検証に限定されており,桟橋幅が20m を超える桟橋への適用性は不明である. また,地盤の斜面部の杭の挙動に与える影響を直接考慮することができていないという課題がある. そこで,本研究では,現行法と鈴木らの方法の二つの方法で,桟橋幅や斜面勾配が異なる8 ケースの桟橋の断面に対して骨組解析を実施し,算定される杭頭曲げモーメントを比較した. その結果,桟橋幅が20m を超える桟橋に対しても現行法のほうが鈴木らの方法よりも安全側の設計となることが確認された. ただし,現行法で計算した場合,特に海側の杭において,曲げモーメントを過大評価していることがわかった. そこで,鈴木らの方法と現行法を組み合わせた新たな骨組解析の杭-地盤系のモデル化手法を提案した. 提案法は,簡便性を考慮してチャンの方法でモデル化することとし,斜面部においては鈴木らの方法と同様に地表面の傾斜角に応じて地盤のバネ定数を補正することとした. 提案法により桟橋の計算を行うことで,鈴木らの方法で得られる各杭の挙動の計算結果に対して,現行法よりも提案法のほうが近い値となること,さらに現行法よりも経済的な桟橋の設計断面となる可能性があることが示された. キーワード:桟橋,杭,骨組解析,チャンの方法,港研方式 |
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TECHNICALNOTE1425(PDF/2,748KB)
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