研究について
研究成果
高密度のスラグ骨材を用いたコンクリートの 港湾構造物への適用性の検討
発行年月 | 港湾空港技術研究所 報告 64-1-1 2025年03月 |
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執筆者 | 小池 賢太郎、山路 徹、黒田 智広、川中 智加、畑中 拓 |
所属 | 構造研究領域 材料研究グループ |
要旨 | 近畿地方を中心とする西日本では,良質な天然骨材が不足していることから,代替骨材として同地方にて比較的入手が容易な,銅スラグ細骨材や電気炉酸化スラグ粗骨材などの高密度のスラグ骨材の活用が期待されている. 高密度のスラグ骨材を混合したコンクリートの特徴として,コンクリート高重量化や硬化コンクリートの収縮抑制が可能であり,これを港湾コンクリートに適用すれば,重量を要する無筋コンクリート(消波ブロックなど)や,ひび割れが劣化の起点となる鉄筋コンクリート(ケーソンなど)など幅広く活用できることが期待できる. しかし,港湾分野での高密度のスラグ骨材を使用したコンクリートの適用事例は少なく,海洋コンクリートとしての施工性,硬化後特性(特に収縮特性),長期耐久性などの諸性能が不明瞭である. 本研究ではこれらの課題に対して,次に示す検討を行った. (1) 室内試験による高密度のスラグ骨材を使用したコンクリートの最適配合の検討/(2) (1)の配合を基に実機施工試験および実大模擬試験体の作製による施工性,硬化後特性の検討/(3) 室内促進試験,実環境暴露による長期耐久性の検討 以下に本検討で得られた知見を示す. 1)「施工性」鉄筋コンクリートでの適用を想定した高密度のスラグ骨材を少量に混合する配合では,材料分離抵抗性やポンプ圧送性において高密度のスラグ骨材を使用しないコンクリート(普通コンクリート)と同程度であった.無筋コンクリートでの適用を想定した高密度のスラグ骨材を大量に混合する配合では,材料分離抵抗性やポンプ圧送性において普通コンクリートに比べて劣るため,ポンプ圧送による打設を行う場合については配合(s/aや粉体量など)の工夫が必要となる. 2)「硬化後特性」高密度のスラグ骨材の少量・大量混合によらず,強度特性は普通コンクリートと同程度であった.大量混合する場合は,普通コンクリートよりも乾燥収縮ひずみを抑制する. 3)「長期耐久性」中性化抵抗性,塩化物イオン浸透抵抗性,海水作用による劣化抵抗性について,高密度のスラグ骨材の少量混合,大量混合によらず,普通コンクリートと同等以上の耐久性を有していた.また,塩化物イオン浸透抵抗性に関して,室内促進試験の1つである「非定常方式電気泳動試験」から,長期経過後の見かけの拡散係数を推測できる可能性が示された. キーワード:海洋コンクリート,銅スラグ,電気炉酸化スラグ,施工性,長期耐久性 |
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