研究について
研究成果
河川及び汽水湖における塩水挙動の再現計算
発行年月 | 港湾空港技術研究所 資料 1421 2024年12月 |
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執筆者 | 井上 徹教、Muhammad Ali Hafeez |
所属 | 海洋環境制御システム研究領域 海洋環境制御システム研究領域長 |
要旨 | 本稿は“Water”で出版された論文“Determination of flow characteristics of Ohashi River through 3-D hydrodynamic model under simplified and detailed bathymetric conditions”および“Advances in Water Resources”で出版された論文“Three-dimensional hydrodynamic modelling of saltwater ingression and circulation in a Brackish Lake Shinji, Japan”を再構成し日本語訳したものである. 本研究では,連結する汽水湖での塩分の挙動を再現するために,流動生態系シミュレーションモデルEcoPARIを用いたモデル構築を行い,その精度について検証した. 大橋川は宍道湖・中海を結ぶ河川であるが,断続的に塩水楔が発生する. 本研究では第一に,塩水楔の流量を定量的に再現するため,実用上の計算コストを考慮して200 mメッシュでの計算格子を採用し,大橋川の形状と水深に重点を置いた検討を行った. このアプローチでは河川の断面積を過大評価することとなるが,流速を妥当な範囲で減少させることで調整された. つまり,流速が遅くなる結果,塩水楔が大橋川を通過するのに最大3時間のタイムラグが生じる結果となった. しかし,大橋川の水温と塩分濃度の典型的な時間スケールは数日であるため,3時間のタイムラグがあっても実用上問題は生じないと判断した. 次に,宍道湖内での塩水塊の挙動を再現するため,鉛直乱流拡散モデルのチューニングに重点を置き,最適なモデルパラメータを決定した. その結果,水温と塩分に対して異なるモデルパラメータを使用することになったため,その可否についても検討し,合理的な解釈を試みた. 最後に,モデルの検証を目的として,台風通過に伴う強風条件を含む塩分環境の再現性を評価した. その結果,本モデルは,夏季の塩分成層の形成を再現できただけでなく,台風通過による強い西風に伴う塩水塊の湧昇(青潮)も再現できた. キーワード:汽水湖,塩分,地形条件,鉛直拡散,湧昇 |
全文 |
TECHNICALNOTE1421(PDF/5,242KB)
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