研究について

研究成果

高波による護岸での地盤破壊と安定性評価法

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 61-2-1 2022年12月
執筆者 高橋 英紀
所属 地盤研究領域 地盤改良研究グループ
要旨

高波による沿岸域の護岸での被災は続いており、その被災形態としては地盤を含むものもある。 その破壊メカニズムを明確にして、適切に安定性を評価することが重要である。また、耐力が不足する護岸については効果的な対策を施すことが急務となっている。本研究が着目している地盤破壊は、地盤の飽和化や引き波時の護岸前面水位の低下に伴う不安定化に起因するものである。研究では、波の伝播と地盤の変形を含む護岸の破壊挙動を再現する遠心模型実験を行い、破壊メカニズムの確認と諸条件の影響評価を行った。また、有限差分法による流体解析を実施して地盤の変形解析へ入力する水圧を算定し、地盤の有限要素解析(FEA)によって護岸の破壊挙動を再現した。FEA では、地盤の応力や間隙水圧状態などを把握することで破壊メカニズムを応力などの観点から検証した。これらの検討を通して、地盤の飽和化や引き波時の間隙水圧条件が地盤の不安定化を招いていることを明らかにした。さらに、地盤を含む護岸の安定性を円弧すべり計算で評価し、その精度の高さを確認した。最後に、護岸における地盤の安定性を高める方法について検討した。遠心模型実験やFEA の結果からの考察や円弧すべり計算の実施を通し て、法先地盤の洗掘・緩み対策や、法先での矢板や固化処理土の打設、被覆工下部の砕石層の構築、被覆工下部地盤での飽和化の防止などが地盤の安定性を高めることを示した。

キーワード:波,地盤,護岸,遠心模型実験,流体解析,有限要素解析,円弧すべり計算

全文 REPORT61-2-1(PDF/3,158KB)