研究について

研究成果

桟橋の偶発状態に対する耐震性能照査法の高度化に関する課題の整理

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 No1405 2022年09月
執筆者 田渡 竜乃介、水谷 崇亮、野津 厚、小濱 英司、大矢 陽介、近藤 明彦、加藤 絵万、川端 雄一郎、田中 豊、竹信 正寛、松村 聡、浜本 尚拓、稲田 滉平
所属 地盤研究領域 基礎工研究グループ
要旨

 港湾空港技術研究所では、国土技術政策総合研究所および一般社団法人鋼管杭・鋼矢板技術協会と合同で、桟橋の耐震性能照査法に関する研究の現状把握、平成30年度に改訂された現行の港湾の施設の技術上の基準・同解説に関する課題の抽出および今後の方針の検討を目的とした勉強会を令和3年度から4年度にかけて開催した。本資料は、当該勉強会での議論の内容を取りまとめ、設計法の高精細化に向けた研究の視点を整理したものである。
 抽出された主な課題として、1)耐震強化施設ではない桟橋(通常桟橋)のレベル2地震動に対する要求性能が設定されていない、2)耐震強化施設である桟橋の使用性および修復性に対応する性能規定として標準とされている限界曲率超過箇所の個数を数える方法は、実際の使用可否または修復可否に即していない、3)FLIP等の数値解析においてバイリニア型で表現している鋼管杭のM-φ関係では限界曲率超過に伴う耐力低下が表現できない、といった内容が挙げられた。また、これらに対する主な解決方針として、通常桟橋のレベル2地震動に対する要求性能を安全性とすること、被災後の緊急物資輸送または幹線貨物輸送を想定し、レベル2地震時照査に続いてレベル2地震後の静的照査による判定を行うことなどが提案され、合わせて上記の要求性能に対応した性能照査法に関する具体的な研究課題が整理された。
 本勉強会で挙げられた検討方針については、港湾空港技術研究所および国土技術政策総合研究所において検討が継続される予定である。また今後は、桟橋における課題および解決方針を参考に、他の岸壁構造形式についても議論を重ねることにより、さらに高精度かつ効率的な設計法へと改善できるよう取り組みを進めていく。

キーワード:波,地盤,護岸,遠心模型実験,流体解析,有限要素解析,円弧すべり計算

全文 TECHNICALNOTE1405(PDF/1,036KB)