研究について

研究成果

PC 圧着構造を用いたユニット式プレキャスト桟橋の開発-工場製作部材による省力化施工-

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 61-1-2 2022年06月
執筆者 田中 豊、池野 勝哉、石塚 新太、田中 智宏、金枝 俊輔、栗原 勇樹、前 嘉昭、天谷 公彦、中村 菫、川端 雄一郎、加藤 絵万、岩波 光保
所属 構造研究領域 構造研究グループ
要旨

 近年、建設現場の担い手不足を背景に、プレキャスト(PCa)部材を活用した現場施工の省力化技術が求められている。とりわけ、港湾工事における桟橋上部工のPCa施工は、海上作業を大幅に省略できるため、工期短縮以外にも、コンクリート構造物の品質確保や安全性向上などの面でメリットが大きい。一般に桟橋上部工のPCa施工では、現場内あるいは近郊の陸上ヤードにおいて、鋼管杭打設と並行して重量100~200t程度のPCa部材を製作し、鋼管杭打設後に大型起重機船によって架設するサイトPCa工法が用いられている。しかし、サイトPCa工法は比較的規模の大きな陸上ヤードの確保が必要となる事、大型起重機船の調達や入港時の地形的制約を受ける事、それらに伴うコスト増加などの問題点が指摘できる。
 そこで、著者らは桟橋上部工を杭頭部材と梁部材の2種類のPCa部材とし、全てのPCa部材を工場製作および陸上運搬、現地でプレストレス(PC)により圧着接合するユニット式プレキャスト桟橋を提案している。本工法は、従来のサイトPCa工法と比べて、現地での更なる省力化が期待できるとともに、PC構造とすることで上部工の軽量化が図れるため、地震時慣性力の軽減による合理的な設計が可能となるものである。本稿では、本工法の技術的課題として①杭頭接合部の曲げ耐力、②部材接合部のせん断耐力、③PCa部材架設時の施工誤差について取り上げ、実験的なアプローチにより確認している。更に、従来の現場打ちおよびサイトPCa工法を比較対象に、コスト比較や省人化の評価、産業連関表を用いたCO2排出量の推計を行い、本工法の優位性について示している。

キーワード:プレキャスト桟橋,PC 圧着構造,ユニット式,載荷実験,実物大実験

全文 REPORT61-1-2(PDF/13,809KB)