研究について

研究成果

舶用風向風速計の現地における精度検証とキャリブレーション ―東京湾口定期航路フェリーによる検討―

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1382 2021年03月
執筆者 細川 真也・大倉 翔太
所属 海洋情報・津波研究領域 海洋環境情報研究グループ
要旨

 船舶による風観測は、 気象や海象の把握及び船舶の安全な航行のために重要であり正確性が求められる。 本研究では、 「かなや丸」で約1 年半の間に蓄積されたデータに基づき、 風向風速計のミスアライメント及び風 速値の検証、 検証結果に基づいたキャリブレーションを行った。 この結果、 「かなや丸」の風向風速計には船 の進行方向からやや時計回りのミスアライメント角があり、 風速の値はやや過大評価している可能性が示された。 この検証結果に基づきキャリブレーションしたところ、 補正前に比べて精度が改善された。 次に、 「かなや丸」 のデータをシミュレーションデータとして活用し、一般船舶が効率的に風向風速計の検証を行うための風の条件、 必要とするデータ数、検証に用いる評価指数の特徴について考察した。 この結果、対地風が適度な風速であり、 かつ、 偏りのない風向の下で検証しなければ明確なミスアライメント角及び風速の倍率を見出せないこと、 適切 な条件の下で検証すれば航行数は減らせることを示した。 また、 条件に応じた適切な評価指標の選択が重要 であることを示した。 本研究成果により「かなや丸」の今後の正確な大気観測が行われ、 一般船舶の現地キャ リブレーションが効率的に実施されることが期待される。

キーワード: 船上風、 対地風、 移動観測、 ミスアライメント、 風速の倍率、 現地キャリブレーション

全文 TECHNICALNOTE1382(PDF/4,983KB)