研究について

研究成果

効率的な矢板式係船岸の改良設計手法の提案

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1375 2020年09月
執筆者 中村 駿太、水谷 崇亮、松村 聡、鍵本 慎太郎
所属 地盤研究領域 基礎工研究グループ
要旨

 近年、船舶の大型化に対応した増深、耐震性能の向上、老朽化への対策など、既存係留施設の改良工事が必要な事例が増加しており、今後はさらに改良工事が増えることが予想されている。改良設計は新規設計より設計や施工の条件が厳しく、構造物が複雑であることが多い。しかし、改良工法の選定方法や設計方法について基準となるものがほとんどなく、個々の設計条件ごとに設計者が手探りで工法選定、設計を行っている。そのため、工法選定時に最も適切な改良工法が見落され、効率的な設計になっていない可能性がある。また、矢板式係船岸は前面矢板、タイ材、控え工など構成する部材が多く、部材同士の相互作用を考慮しなければならないが、改良設計では新規部材が設置されることになるため、構造物全体の挙動はより複雑なものになる。
 そこで、本研究では、設計者が共通の目線で工法の選定ができるように、田端ら(2017、2018a、 2018b)が提案している改良設計の考え方に沿って矢板式係船岸の試改良設計を行い、課題の整理を行ったうえで、矢板式係船岸の改良設計フローの試案を提案した。
  課題の整理の結果、現行の設計法では部材接続部の変位が算出できないため、構造物全体の挙動の検討ができないという課題が主なものとして挙げられた。そこで、部材接続部の変位が考慮できるような、各部材を連成させた骨組モデルの検討を行った。そして、二段タイ材工法を例に骨組モデルの解析を行い、骨組モデルの適用性を確認した。また、これを応用して施工過程を考慮できるような骨組解析モデルの検討も行った。

キーワード:改良設計、矢板式係船岸、骨組解析、施工過程

全文 TECHNICALNOTE1375(PDF/12,228KB)