研究について

研究成果

東京港新客船埠頭におけるジャケット支持杭の鉛直載荷試験

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1374 2020年09月
執筆者 水谷 崇亮
所属 地盤研究領域 基礎工研究グループ
要旨

 東京港新客船埠頭の整備では、ターミナル基礎及び桟橋に直杭式のジャケット工法が採用された。ターミナル基礎のジャケット支持杭は、ターミナルからの大きな作用に対抗するため、直径2mという大径で、杭先端部に井桁状の仕切板(井桁リブ)を設けた鋼管杭が採用された。このような杭の軸方向抵抗力については十分な知見が無いことから、埠頭の整備予定地に試験杭を施工し、急速載荷試験を実施して軸方向押込み抵抗力の特性を確認した。また、ジャケットの設計では、経済性を高める目的で様々な杭径、先端形状の杭が使用されることとなった。杭径、杭先端形状が変化することで、試験杭とは異なる抵抗力特性が現れることが懸念されたため、本設杭の施工時に5本の杭に対して衝撃載荷試験を実施した。本稿ではこれらの載荷試験の試験方法や試験結果を整理し、東京港新客船埠頭用地における杭の軸方向抵抗力の特性をとりまとめた。
  試験杭の急速載荷試験の結果、設計上必要とされる杭の抵抗力を十分に確保できることが確認された。特に杭先端の閉塞率や先端抵抗力のセットアップ率が大きな値を示した。杭先端の井桁リブの効果の他に、杭先端部の地盤条件が影響したものと考えられる。また、試験杭の急速載荷試験結果と本設杭の衝撃載荷試験結果を比較すると、周面抵抗力は概ね同様な傾向を示しているが、杭先端の閉塞率や先端抵抗力のセットアップ率に大きな差が見られた。杭径、杭先端形状の違いや杭先端部の地盤条件の違いが影響したものと考えられる。
  試験結果を施工管理に活用するため、載荷試験結果を使ってハイリー式を補正する方法について検討した。試験結果から得られた補正係数は杭毎に大きく異なることが確認された。この補正係数を本設杭の施工管理に使用する際は、条件の近い杭の試験結果から算定された値を用いることを基本とし、かつ、施工時の入力エネルギー、杭貫入量、リバウンド量等の値や、それらの深さ方向の変化状況なども比較することが重要であると考えられる。

キーワード:大径鋼管杭、先端リブ、急速載荷試験、衝撃載荷試験、ハイリー式の補正係数

全文 TECHNICALNOTE1374(PDF/2,069KB)