研究について

研究成果

応力発光材料を用いた地盤内のリアルタイムな作用力分布可視化技術の開発とその応用

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 58-2-1 2020年02月
執筆者 近藤 明彦・高野 大樹・小濱 英司・Richard J. Bathurst
所属 地震防災研究領域 耐震構造研究グループ
要旨

 港湾空港施設の設計において、厳しい外力条件に対して合理的な設計を行うには、対象とする構造物とその地盤材料の変形・破壊モードを詳細に把握することが重要である。地盤材料の変形・破壊挙動の検討においては、そのメカニズム解明に向けた土質試験、模型実験や数値解析が実施されている。特に、模型実験は数値解析の妥当性確認の観点からも重要であり、各種センサーによる計測や撮影した画像の解析などが広く行われている。近年では、ひずみ場の検討としてX線CTスキャンによる三次元データとその画像解析を用いた地盤内の粒子単位の変位やひずみの局所化過程が盛んに検討されている。一方、応力場の検討は、土圧計や間隙水圧計による点の計測が多く、光弾性体やX線回折による方法は偏光器やシンクロトロンなど高価な設備に加え、粒子形状、材料やトモグラフィに伴う計測間隔の制限などにより、計測水準に差があるのが現状である。
 そこで、本研究では、応力発光材料に着目することで、地盤材料の変形・破壊過程における粒子単位の作用力の分布をリアルタイムに可視化する技術の開発を行った。本稿では、応力発光現象の概要と応力発光粒子の作成について述べるとともに、キャリブレーションと二次元断面の小型供試体における換算した作用力の検証を行った結果を報告する。また、その応用として、杭模型貫入時における地盤内の変形・破壊プロセスを可視化した結果を報告する。

キーワード:粒状体、応力発光、可視化、応力鎖、杭貫入

全文 REPORT58-2-1(PDF/5,279KB)