研究について

研究成果

隆起抑制型CPG工法の開発

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1354 2019年08月
執筆者 佐々真志、山﨑浩之、小西武、足立雅樹、新坂孝志、竹之内寛至、諸橋弘樹、斎藤英徳、岡田宙、高田圭太、渡邉慎吾、金子誓、高橋但
所属 地盤研究領域 動土質研究グループ
要旨

 静的圧入締固め工法(CPG工法)は、低流動性モルタルを地盤に静的に圧入して地盤の密度を増大させる液状化対策工法である。既設構造物の直下や近傍での適応が可能であることから、様々な港湾・空港域で活用されている。しかし施工にともなう地盤変位、特に隆起が問題であり、その抑制が課題であった。本研究では、新しい圧入方法であるアップダウン施工(U/D施工)に関する各種の室内模型実験並びに現場実証実験の実施を通じて、隆起抑制効果、改良効果及び液状化対策効果が向上した新たなCPG工法を開発した。本施工法によると、従来の圧入方式であるボトムアップ施工法に比べて、平均隆起量にして8割以上の低減、液状化強度にして1.5倍以上の効果が得られた。また実機種を用いた実大規模の現場実証実験の結果、開発したU/D施工は当該現場で施工が可能であり、従来のCPG工法と比較して当該地盤の隆起量を最大で90 %以上低減した。さらに、提案する等価改良率の概念・定量化法を用いることで、U/D施工による地盤の隆起量及び密度増加量を予測することができ、従来のCPG工法と同様の設計が可能であることを示した。そして、U/D施工の今後の実用化に向け、施工能率が良く、隆起抑制できる方法の検討及び隆起抑制メカニズムの検証を行った結果、以下の知見が得られた。(1) 貫入抵抗を低減できる先端テーパー形状の注入管を用いることで、隆起抑制効果を担保し、施工性を向上できる。(2) U/D施工は少ない繰返し体積で隆起抑制効果と密度増大効果が速やかに発現する。(3) 隆起抑制メカニズムは、U/D施工に伴う地盤の繰返し収縮で説明できる。

キーワード:静的圧入締固め工法、CPG工法、液状化対策、隆起抑制、密度増大

全文 TECHNICALNOTE1354(PDF/2,760KB)