研究について

研究成果

制振部材を活用した鋼管杭式桟橋の補強に関する検討

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1352 2019年03月
執筆者 小濱英司、粟津進吾、大矢陽介、塩崎禎郎
所属 地震防災研究領域 耐震構造研究グループ
要旨

 臨海部のエネルギー関連施設は、将来発生が懸念される巨大地震後においても、エネルギー供給を継続するための高い耐震性能が求められる。エネルギー入出荷用の鋼管杭式桟橋では、ローディングアーム等の設備が上載され、陸域の貯槽とつながる配管を有することから、耐震対策には桟橋上部工の加速度と変位の低減および杭の損傷の抑制が要求される。
  これらの要求に応えるための一例として、桟橋の両サイドに剛性の高い組杭構造を新設し、それらの間を制振部材で結合する補強構造を対象に、模型実験による効果の検証を行った。その結果、桟橋と組杭構造の水平剛性の違いから、制振部材が大きく変形することでエネルギー吸収が生じ、桟橋上部工の加速度応答、変位応答および杭の曲げモーメントの低減が両立できることが確認できた。また、桟橋の上載設備の応答低減も期待できることが分かった。
  また、実設計での地震応答解析による制振補強構造の設計を考慮し、模型実験結果を評価できる数値解析モデルを検討して模型実験結果の再現性を確認した。さらに、実験で考慮されていない地盤の液状化や杭の降伏耐力などを考慮した追加解析を行い、そのような条件においても同様の補強効果が得られることを確認した。

キーワード:鋼管杭式桟橋、制振構造、耐震補強、振動台実験、地震応答解析

全文 TECHNICALNOTE1352(PDF/3,907KB)