研究について

研究成果

動的応答特性を考慮した胸壁の照査用震度と耐震性能照査への適応性

発行年月 港湾空港技術研究所 資料 1343 2018年06月
執筆者 小濱英司、夏坂亮太、府川裕史
所属 地震防災研究領域 耐震構造研究グループ
要旨

 本研究は、骨組解析と加速度応答スペクトルによるレベル1 地震動に対する胸壁の照査用震度算出手法を用い、種々の形式の胸壁を対象として照査用震度を算出し、設計実務における性能照査への影響について検討するものである。
 照査用震度算定において、骨組解析によって算出される固有振動数はフーチング側面地盤抵抗や使用する鋼管杭諸元によって変動したが、照査用震度に与える影響はあまり大きくないことが明らかとなった。
 算出した照査用震度を用い、杭基礎式胸壁では杭応力度について照査し、直接基礎式胸壁では転倒および滑動の安定照査を行った。杭基礎式において鋼管杭の管径や板厚を小さくした場合、照査用震度はあまり変わらないものの、杭の断面耐力低下により作用耐力比が増加することを確認した。また、フーチング側面地盤抵抗を考慮することにより照査用震度が増加するものが多くあったが、その増分は壁体慣性力に対して抵抗側に作用するフーチング側面の地盤反力よりも小さく、結果として作用耐力比は減少した。直接基礎式においてもフーチング側面地盤抵抗を考慮することにより滑動安全率は増加して危険側の判定となった。よって、杭基礎式および直接基礎式のどちらの場合も、フーチング側面地盤抵抗を考慮しないことで安全側の評価となることを確認した。

キーワード:胸壁、レベル1 地震動、照査用震度、固有振動数、設計

全文 TECHNICALNOTE1343(PDF/1,408KB)