研究について

研究成果

世界の自動化コンテナターミナルの動向分析

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 56-4-1 2018年03月
執筆者 高橋 浩二
所属 特別研究主幹 国際主幹
要旨

 自動化コンテナターミナルは、1993年に世界初のターミナルがロッテルダム港Delta Terminalにオープン以来、生産性・労働安全性の向上や労働環境改善の長所が受け入れられ、2010年以降の世界的な普及期を経て、現在は世界の約50のターミナルオペレータに採用されている。この間に、自動荷役技術は、IT技術の進化とあわせ、デファクトスタンダード化やデファクトステップ化が進んだ結果、①新規にコンテナターミナルへ自動荷役を導入しやすい状況、②自動化コンテナターミナル間相互の生産性競争を激しくさせ、自動荷役技術の導入による生産性の競争のみならず、さらなる生産性の向上のための戦略を採用せざるを得ない状況、③自動荷役技術のハード・ソフトのノウハウと実績を欧米のグローバル企業数社による寡占化の状況、を作り出す結果となった。2017年になると中国企業が国産技術により自動化コンテナターミナルを供用させ、グローバル企業の仲間入りを果たした。後発企業である中国企業がグローバル企業の仲間入りを果たすことができた背景には、中国企業の後ろ盾となるローンチカスタマーの存在がある。
 このように海外で大きな動きが起こっている一方で、わが国国内では自動荷役に関する既存の情報や文献は少なく、荷役設備の技術内容を詳述するものに限られているのが現状である。わが国のコンテナターミナルに自動荷役を導入する場合の基礎情報として、世界の自動化コンテナターミナルの動向分析を提供することは有意義なことである。
 このため、筆者は、世界の自動化コンテナターミナルの現地調査や企業訪問、国際会議への参加等により、自動化コンテナターミナルをめぐる長短導入に至った背景、技術のデファクト化、企業動向等の分析を行い、本報告において、動向分析の結果を提供するとともに、わが国に自動荷役を導入する場合に必要な視点を提示した。

キーワード:自動化コンテナターミナル、荷役、動向分析、サプライヤー、寡占、デファクトスタンダード、デファクトステップ、生産性競争、ローンチカスタマー、港湾労働者、スキルアップ

全文 REPORT56-4-1(PDF/2,737)