研究について

研究成果

数値解析および模型実験によるレベル1地震動に対する胸壁の照査用震度算出手法の検討

発行年月 港湾空港技術研究所 報告 56-3-3 2017年09月
執筆者 小濱英司、府川裕史
所属 地震防災研究領域 耐震構造研究グループ
要旨

 本研究は、レベル1地震動に対する胸壁の照査用震度算出手法の確立を目的として、港湾基準にある骨組解析と加速度応答スペクトルを用いた手法について、胸壁への適用性を数値解析および模型実験により検討するものである。
 数値解析による検討の結果、骨組解析から算出した固有振動数は、地震応答解析における固有振動数と数ヘルツ程度の誤差を生じ、大加速度の地震動の場合は、地盤の非線形特性によりその誤差がさらに拡大することを確認した。そこで、骨組解析から算出した固有振動数を一次元自由地盤部解析から求めた地盤剛性の低下率を用いて修正した結果、地震時の胸壁の固有振動数の低下の傾向を概ね再現できることを確認した。骨組解析における地盤反力係数の算定方法の違いは、求められる固有振動数には大きく影響しないことも確認した。一方、加速度応答スペクトルを用いた胸壁の最大応答加速度の推定において、減衰は大きく、固有振動数与える影響は小さいことが明らかとなった。また、入力地震動が大きい場合は壁体の回転挙動が大きくなり、応答スペクトルによる最大加速度推定値との差は大きくなった。ただし、レベル2地震相当の大加速度をもつ地震動の結果を除外すると、骨組解析から算出した固有振動数と応答スペクトルによって比較的精度良く最大加速度を推定でき、模型実験による検討においても同様であった。以上の検討から、レベル1地震動に対する骨組解析と応答スペクトルを用いた照査用震度の算出手法の胸壁への適用性を確認し、照査用震度算定手順を整理することができた。

キーワード:胸壁、レベル1地震動、照査用震度、固有振動数、数値解析、模型実験

全文 REPORT56-3-3(PDF/13,514KB)